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雅楽講演会 第1シーズン

​里探サロンアーカイブ

雅楽講演会 第1回

里探サロン ~雅楽総論~ 2008年6月16日


雅楽のルーツを探るこの講演の最初にはまず、雅楽とは何かを考えることからはじめました。
そもそも雅楽とは何だろうか・・・・?雅楽は本当に「日本の」伝統芸能なのだろうか。

どうやら雅楽は一口に言い表すことが出来ない複雑な芸能であるようです。
雅楽はおよそ1300年前にはすでに日本に伝来していたといわれています。 

ではどこから伝来したのでしょうか・・・。

現在雅楽として演奏される楽曲は大きく「唐楽」と「高麗楽」に分けられ、それらの中には中国、朝鮮半島のみならず、インド、ペルシア、ベトナム極めて広範囲にわたる地域から伝わったものが含まれています。にもかかわらず、多くの日本人は「雅楽=日本固有の芸能」と思っている傾向があるのです。
それはあながち間違いではありません。たしかに現在、アジアの各地ではすでに失われ、現存しているのはただ日本のみということも事実だからです。
しかし「雅楽=日本固有の芸能」という考え方が、「雅楽は日本の音楽・芸能である」にすりかえられてしまった時、私達は連綿と受け継がれてきた自国の歴史や文化を否定することになるのではないでしょうか。それはあまりにも危険です。 

雅楽はまだまだ謎多き芸能であるから面白い。
これから続く各論でそれらの謎が一つ一つ解き明かしていきます。
この里探サロンが本当の雅楽の姿を一人でも多くの方に知っていただくきっかけになれば幸いです。

雅楽講演会 第2回

里探サロン 「笙」~天から差し込む光の象徴 笙の魅力~ 2008年6月30日

 笙が受け持つのは、旋律ではなく曲の進行(間合い)と基音という演奏の屋台骨です。実は雅楽独特のあの「間」はこの楽器によって作り出されています。
 今回は笙の構造をご覧いただいたり、練習用の楽器を試しに吹いてみたりと盛りだくさんでした。普段はなかなか見ることの出来ない貴重な体験だったのではないでしょうか。

雅楽講演会 第3回

里探サロン 「ひちりき」~なぜ「人の声」の象徴か―ひちりきの魅力~ 2008年7月14日

 地上の人の声と形容されるひちりき、それは、自由自在に音程を操るその奏法に由来しているようです。「自由自在に音程を操ることができる」簡単に言ってしまいますが、実はこれが非常に難しいことなのです。同じ指孔を抑えてもどんな音程も出てしまう。一見便利に聞こえますが、どんな音でも出るところから「この音」と狙い定めて狂いなく出すことは、まさに針に糸を通す作業に等しい。
演奏には確実に音程をとらえられる耳と、リードを自由に操れる口の動きと息の加減、熟練した技が必要なのです。

​ 当日は三田主席の演奏に加え、弟子の篳篥奏者有志が作成した資料にそって、篳篥の歴史などが紹介されました。

雅楽講演会 第4回

​里探サロン 「龍笛」 ~空を駆ける龍の象徴 「横笛」の魅力~ 2008年7月21日

​ 龍笛は天の音・笙、大地の音・篳篥この両者をつなぐ空間を自由に駆け巡る龍の声をあらわすといわれています。合奏においては篳篥とともに旋律を紡ぎだすの役割を受け持ちます。
 また、ほとんどの楽曲演奏では龍笛の音頭(おんど:ソロパート)から始まるため、楽曲全体の速さや流れを決める重要な役目を負っているともいえるでしょう。
 一般にはあまり知られていませんが、雅楽の横笛奏者は龍笛だけではなく、高麗笛、そして神楽笛と実は3種の笛を担当し、これらを楽曲の出自により使い分けています。これらの笛は太さ、長さ、指孔の数も異なり、また息の入れ方など双方にも若干の違いがあります。

雅楽講演会 第5回

​里探サロン 「雅楽の譜面」 ~古譜と明治撰定譜から雅楽伝承の「秘密」を探る~ 2008年8月4日

 政治の中心が1000年以上にわたって近畿にあり、雅楽の中心も同様でした。
しかし明治時代に起こった東京遷都とともに、京都(御所)・大阪(四天王寺)・奈良(南都)の三方楽所の楽人達が東京へ集められました。
 そしてその三方楽人に江戸城内に設置されていた紅葉山楽人が加わり、現在の宮内庁式部職楽部の礎が築かれます。このときに各地の譜面を統合して作られたものが、現在私たちが使用している「明治撰定譜」と呼ばれる統一譜です。

 この統一譜面以前は、それぞれの家(楽家)ごとに異なる譜面を使用していました。口伝により伝承されてきた雅楽において、もともと譜面は正式なものというより、 備忘録として簡単に手付を記載してある程度に過ぎませんでした。
 現在のような完全な譜面の形ができたのは最近の話で、江戸時代に入ってのことです。

 今回はその中でも、京都方楽家である安倍家の篳篥譜を例に、明治撰定譜との記譜の違いを挙げながら平調「越天楽」を演奏、現行の越天楽との違いなどを皆様と一緒に楽しみました。

雅楽講演会 第6回

​里探サロン 「打楽器と雅楽の拍子」 ~雅楽奏者はリズム音痴か?~ 2008年8月18日

 西洋音楽中心の音楽教育を受けてきた現代日本人の多くにとって、雅楽は不可解な音楽になってきてしまっているようです。特に、西洋音楽のメトロノーム的なリズム感に慣れ親しんでいる人には奇異に思える雅楽のあの「のび」。「この雅楽奏者たちは、ただのリズム音痴ではないか?」そういわれることもしばしばです。しかし決してそんなことはないのです。
 笙の回で明らかにしましたが、この雅楽の独特の間を作り出しているのは、笙の役割によるところが大きい。そしてそれを守りながら楽曲の要所要所に打ちいれていくのが打楽器の役割です。

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雅楽講演会 第7回

​里探サロン 「絃楽器」~雅楽本来の指揮者は誰か~ 2008年9月29日

 雅楽の楽曲を本当に支配しているのは誰か。

一般には鞨鼓は西洋音楽でいうところの指揮者に喩えられ、その役割を担っていると説明されます。

ですが本当にそうなのでしょうか。今回はその謎を解き明かしながら、雅楽の楽曲のメカニズムを探りました。
 雅楽において絃楽器(琵琶・筝)は旋律楽器ではありません。これが一番の特徴です。絃楽器は楽曲の中においてより細かなリズムを刻む、「リズム楽器」の役割を果たしているのです。ひちりきなどの旋律楽器とともに、さらに細かい拍子を指示していくのが、筝。一方、笙とともに、主旋律の音が消える空白の間を埋め、次の拍子の指示を出していくのが琵琶です。

雅楽講演会 第8回

​里探サロン  2008年10月  日

 

雅楽講演会 第9回

​里探サロン「舞楽公演の構成」~舞楽の次第・陰陽のダイナミズムと雅楽の宇宙観~ 2008年10月13日

 今回は普段なかなかスポットの当たることが少ない、雅楽の舞台とその公演の構成を見ていきました。
じつはそこにもさまざまな思想が込められていたのです。
 まずは映像を使いながら舞台配置、舞楽作法など、雅楽が表象する宇宙観をご紹介。

「天子南面」 中国思想に基づいた舞台構成。天子は南に面して座すという慣わしに従って、雅楽の舞台も出来ています。天子の位置つまり客席が南です。向かって左にある大太鼓には、「昇龍」が彫ってあり、上に金色の「日」、太陽がついています。また鼓面には三つ巴が描かれ、「陽」を表しています。太陽が昇る方角、つまりこちらは東を表しています。

雅楽講演会 第10回

​里探サロン 「舞楽装束と舞楽面」 ~装束のいろいろ~ 2008年10月27日

 舞楽装束と面をご覧いただきました。舞楽装束はきらびやかで珍しいものばかりですよね。
ときどき「こんなに派手で極彩色の装束や面が日本に昔からあったはずがない!」とのお叱りを受けることがあります。それほど印象的な色彩なのでしょうが、中でも「迦陵頻(カリョウビン)」をご覧になるとこういう感想をもたれるようです。特に舞人が背中に背負う極彩色の羽に違和感を覚えるようですね。

 金閣寺が金箔張りに戻ったとき、日本中に衝撃が走りました。
黒ずんだあのわびさびの情緒がいいと、日本人はみな信じていたのです。しかし、足利義満が作り出したかったのは金ピカなこの世のものではない金閣寺でした。
 現在は色を失っている寺院なども煌びやかな極彩色であふれていました。平等院の阿弥陀堂も当時の彩色を再現すると、非常に派手でびっくりします。私達が想像しているより遥かに、1000年前の日本人の感覚は豊かだったのですね。

雅楽講演会 第11回

​里探サロン 「左舞の特徴」 ~左舞の基本動作~ 2008年11月17日

 今回は左舞の体験をしました。作務衣姿の三田主席に合わせ、左舞の名曲「蘭陵王」の冒頭部分を舞います。左舞の特徴は曲の旋律にあわせて舞うことです。
稽古の際には唱歌と呼ばれる、楽器の旋律を歌にしたものを歌いながらそれに合わせて動いていきます。
 本来ならば舞人はまずこの唱歌(主に龍笛のもの)を暗唱してから舞のお稽古に移るのですが、参加者のみなさんにはちょっと難しいですので、今日は三田主席の唱歌に合わせ行いました。

雅楽講演会 第12回

​里探サロン「左舞いろいろ」 中国・ヴェトナム・インドにペルシャ…~国際色豊かな「陽」の舞楽~

                                       2008年12月1日

 左舞は主に唐楽に分類された楽曲群にある舞を指します。
日本では主に奈良時代に伝来したアジア中の楽曲を、左方(唐楽)と右方(高麗楽)にそれぞれ分けて整理、伝承してきました。左舞には唐楽(中国の楽曲)のみならず、インド、ベトナムなど各地の楽曲も含まれています。舞楽装束は左舞は赤系統のものを用い、舞台の出入りは必ず左側から、歩く際は必ず左足からという決まりがあります。それではいくつかの楽曲を紹介しました。

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雅楽講演会 第13回

​里探サロン 「右舞の特徴」 ~右舞の基本動作~       2008年12月1日

 

雅楽講演会 第14回

​里探サロン「右舞いろいろ」ヤマトと朝鮮半島・交流の証~インナーマッスルを鍛える「陰」の舞楽~

                                       2009年1月26日

 右舞は主に朝鮮半島を経由して伝来した舞を指します。
舞楽装束は青系統のものをつけます。(一部違うものもありますが。)
ここでいう青とはBlueの青ではなく、日本で昔から指すアオ。今でも信号を緑とは言わず、青といいますよね、あのアオです。さて当日は映像や画像を使いながら、右舞をいくつか紹介しました。

 

雅楽講演会 第15回

​里探サロン「国風(くにぶり)の舞」 ~「日本風」とは、「日本」とはなにか~  2009年2月9日

 唐楽・高麗楽ともうひとつの大きな柱である「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」を特に舞にスポットをあて、参加者のみなさんと一緒に、「東遊」「人長舞 其ノ駒」などの映像資料を見ながら、「国風歌舞」が古来の神道儀礼や宮中祭祀のなかで伝承されてきた、日本固有の歌舞であることを解説しました。

​ 「其ノ駒」「東遊(あづまあそび)」など数々の国風歌舞の映像をご覧いただきました。

雅楽講演会 第16回

​里探サロン  舞楽の変遷1  ~人間の眼の限界と舞ぶりの変容~  2009年2月23日

 人間は無意識のうちに自分の動きを簡略化し、体へかかる負荷を軽減しようとするこれはスポーツなどでは当たり前の事柄なのでしょう。
 このサロンの参加者のみなさんには、第11夜にて左舞の基本動作を、第13夜では右舞の基本動作をそれぞれ体験していただきました。

雅楽講演会 第17回

​里探サロン 「舞楽の変遷2」 ~民俗舞楽・舞動作と使用楽器の変化1~  2009年3月17日

 今回は地方の寺社などで伝承される民俗化した舞楽「鄙舞楽」にスポットを当てました。ちなみに、これらの多くが国や都道府県の重要無形民俗文化財などに指定され保護されています。
 まずその特徴を見ていくと、これらの舞楽に共通するのは伴奏楽器に笙やひちりきが無い。その理由としては、どちらも楽器の製作者の有無と、維持管理が複雑であることがあげられます。こうした楽器から失われていくようです。
 一方の龍笛は比較的残りやすいのですが、篠笛など異種の笛に持ち替えられることも多い。太鼓と鞨鼓は胴長太鼓に、鉦鼓は鐘に変化することもあります。
 また多くの場合、舞楽は子供たちによって舞われる「稚児舞楽」となることもあります。
 こうした舞楽は多くの場合、われわれ現在上演している舞楽とは一見かけ離れたものになっていますが、時にはわれわれの舞楽との共通性を見出すことも可能です。

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雅楽講演会 第18回

​里探サロン 「舞楽の変遷3」 ~民俗舞楽・舞動作と使用楽器の変化2~  2009年3月23日

 前回に引きつづき、舞楽が中央から地方へ伝わった姿を今に残す、いわゆる「鄙舞楽」を紹介しました。糸魚川の天津神社の舞楽、山形の林家の舞楽、小国神社の十二段舞楽など、映像を見ながら現在私たちが演じる舞楽とのかかわりについて考えました。

雅楽講演会 第19回

​里探サロン 「アジア舞踊との比較」 ~韓国舞踊との比較から見るアジア文化~  2009年4月6日

 近年三田主席が韓国の研究者 徐 廷録氏とともに進めている共同研究の成果も一部紹介されました。
普段はあまり見ることのない韓国伝統舞踊の映像を視聴し、右舞との共通点を考察しました。

雅楽講演会 第20回

​里探サロン  2009年4月20日

第18回
第19回
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