<楽器の生まれと伝来>

亀茲(きじ/きゅうし)で生まれた楽器であると言われています。

日本へは中国から伝わったとされますが、明確な時期はわかっていません。

 

<楽器の形状と構造>

篳篥は本体とリードの2つのパーツからなります。

楽器本体は竹で作られ、表に7つ、裏に2つの指穴がある20センチ弱ほどの小さな楽器です。表面は樺巻きという、桜の木の皮を紐状にして巻きつけ漆で固めた装飾が施されています。

リードは蘆舌(ろぜつ)といい、蘆でつくられています。長さ5-6センチの小さなリードは蘆を切り出したものを演奏者自らが加工して用います。音色を作り出す篳篥の命はこの蘆舌ともいえ、演奏者の技量が演奏技術のみならず、この蘆舌制作にも大きく関わってきます。

 

 

 

 

 

大地に根を張る植物・蘆(アシ/ヨシ)を使い音色を奏でることから「大地の音色」、またその音色を自由に操ることから「地上の人の声」「大地の音」とも称されています。

 

<奏法と特徴>

龍笛とともに旋律を担当しますが、より装飾的な役割を担う龍笛に対して、篳篥は主旋律を担っています。管楽器の中では最も小さい楽器ながら、最も音量が大きく、そのダイナミックな音色は雅楽を象徴する存在として力強く印象的な音色を奏でています。

篳篥が担当する楽曲群は唐楽、高麗楽、国風歌舞、そして歌謡と全てにわたり、高麗楽や国風歌舞では用いない笙や、楽曲群ごとに楽器を換える横笛に比べると、オールラウンドに活躍する楽器であるともいえます。

「塩梅(えんばい)」という奏法も篳篥を語る上では欠かすことが出来ません。

篳篥は楽器の指穴とリードのコントロールの両方が整うことではじめて音程が定まる仕組みのため、指穴を押さえただけでは正しい音程を出すことができません。塩梅ではその特性を利用し、指穴を変えずに唇、そして息の加減で音程をスライドさせるという特徴的な奏法です。

   

 

 

   

 

    

 

 

 

 

 

塩梅の実演と解説

<お稽古と譜面>

<お茶にひたす>

篳 篥

-ひちりき-

唱歌(しょうか/しょうが)という歌を歌い、曲の旋律と拍子を学びます。​

​譜面(右)は篳篥専用のものです。

篳篥の蘆舌(ろぜつ/リード)は演奏前に、熱いお茶に浸してから使用します。

前述の通り、篳篥のリードは蘆でできており、通常は乾燥して固くなり吹き口が閉じている状態となっています。演奏前に熱いお茶(緑茶)にひたすことで湿らせ、またリードを柔らかくすることで演奏できるようリードの口を開きます。

​緑茶は殺菌作用やリードを強くする作用があるとも言われています。

画像の出典:​『信西古楽図』/『楽家録』/『雅楽譜(篳篥)』(国立国会図書館デジタルコレクション)